「このまま夜勤を続けるのだろうか」
「病院勤務は体力的にきつくなってきた」
「40代で転職できるのだろうか」
このようなお悩みにお答えしていきます。
40代になると体力の低下や家庭の事情で、働き方に悩む時もありますよね。病棟以外の働き方を探している方も少なくないでしょう。
デイサービスは日勤のみであり、病院ほどの負担は感じることなく働けます。
この記事では以下について解説していきます。
- デイサービス(通所介護)とは
- デイサービスで働く看護師の役割や仕事内容
- デイサービスで働く看護師の1日のスケジュール
- 40代看護師がデイサービスで働くメリット
- 40代看護師がデイサービスで働くデメリット
- 40代看護師でデイサービスが向いている人
ぜひ記事を参考に、働き方を検討してみてください。
なお執筆者の母は要介護5です。デイサービスをはじめ、短期入所介護(ショートステイ)、訪問介護、訪問看護を利用中です。介護サービスの方々には長い間お世話になっています。
デイサービス(通所介護)とは
デイサービスは介護保険で利用できるサービスの一つです。ここでは以下の3つについて確認していきます。
- デイサービスの概要
- デイサービスを利用できる人
- デイサービスと通所リハビリテーションの違い
それぞれみていきましょう。
デイサービスの概要
デイサービスとは介護保険で利用できるサービスであり、正式名称は「通所介護」です。
利用者が可能な限り自宅で自立した生活ができ、孤立感の解消や身体機能の維持・向上、家族の介護負担の軽減を目的としています。
利用者が住み慣れた地域の中のデイサービスに通い、以下のサービスを受けます。
- 食事や入浴
- 日常生活の援助
- 身体機能の維持・向上のための機能訓練
- レクリエーション
- 送迎
などです。利用者同士が交流できるため、楽しみに通う人も多い介護サービスです。
2021年10月の時点で全国に24,428(※)施設あります。
※出典 令和3年 介護サービス施設・事業所の概況/厚生労働省
デイサービスを利用できる人
デイサービスを利用できるのは要介護1~要介護5の認定を受けた人です。要支援の人は利用できません。
厚生労働省では要介護状態について、以下の状態を想定しています。
介護度 | 状態 |
---|---|
要介護1 | 要支援状態から、手段的日常生活を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態 |
要介護2 | 要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態 |
要介護3 | 要介護2の状態と比較して、日常生活動作および手段的日常動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態 |
要介護4 | 要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態 |
要介護5 | 要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態 |
参考:報告書「2015年の高齢者介護」参考3 介護保険制度における要介護認定の仕組み/厚生労働省
デイサービスと通所リハビリテーションの違い
「通所」とつくサービスには通所リハビリテーションもあります。両者の違いがよく分からない人もいるかもしれません。
大きな違いは「医師による管理」と「専門的なリハビリ」があるかどうかです。通所リハビリテーションでは医師の指示のもと理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリが行われます。
デイサービス(通所介護)は日常生活の援助が主であるのに対し、通所リハビリテーションは医師の指示によるリハビリテーションを中心としたサービスが提供されます。通所リハビリテーションは、要支援認定を受けた人の利用も可能です。
またデイサービスには、リハビリ特化型デイサービスもあります。リハビリ特化型デイサービスは、身体機能の維持・改善を目的としたデイサービスで、通常のデイサービスより介護度の低い利用者が多めです。1回の利用時間は半日単位で、入浴や食事のサービスはほぼありません。
デイサービスで働く看護師の役割や仕事内容
デイサービスで働く看護師のおもな役割や仕事内容は以下の3つです。
- 以下の利用者の健康管理
- 医療行為の補助
- 介護スタッフのサポート
一つずつ解説していきます。
1.利用者の健康管理
デイサービスで働く看護師のメインとなる仕事は利用者の健康管理です。以下が具体的な仕事です。
- 体調管理(バイタルサイン、一般状態のチェック)
- 入浴可否の判断
- 服薬管理
- 入浴前後のケアや口腔ケアの清潔ケアのサポート
- 記録
- ご家族へのアドバイス
2.医療行為の補助
デイサービスには医師がいないため、看護師が医療行為を行う機会は少なめです。医療行為の補助として行える範囲の処置を行います。
- インスリン注射
- 褥瘡や創部の処置
- 点眼
- 胃ろうの管理
- 急変時の対応
急変時にはアセスメントを適切に行い、処置や医療機関と連携をとる必要があります。
3.介護スタッフのサポート
介護スタッフのサポートはデイサービスで大切な仕事です。サポートの内容は勤務するデイサービスによって異なります。
- 食事、排泄の介助
- 機能訓練
- レクリエーションの補助
- 送迎業務
デイサービスでは「機能訓練指導員」の配置が義務づけられており、看護師が兼務する場合もあります。
機能訓練指導員とは「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する」人です。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する人が機能訓練指導員と名乗れます。
ただし、「利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通して行う機能訓練については、生活相談員や介護職員が兼務して行っても差し支えない」とされています。
デイサービスで働く看護師の1日のスケジュール
デイサービスにより多少前後しますが、1日のスケジュールはおおむね以下のような流れです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8:30 | 出勤・ミーティング・利用者さんお出迎え |
10:00 | バイタルサインチェック |
10:30 | 入浴の補助、皮膚の状態の確認や軟膏処置 |
12:00 | インスリン注射、昼食介助、配薬・服薬介助 |
13:00 | 休憩 |
14:00 | 記録・レクリエーション補助、おやつ |
16:00 | 利用者さんのお見送り |
17:30 | 清掃などを行い業務終了 |
夜勤がなく毎日ほぼ同じ流れであるため、病棟よりは落ち着いてケアできるでしょう。
40代看護師がデイサービスで働くメリット3選
40代看護師がデイサービスで働くメリットは以下の3つです。
- 生活リズムが整いやすい
- 精神的な負担が少ない
- ブランクがあっても働きやすい
それぞれ具体的にみていきましょう。
1.生活リズムが整いやすい
日勤のみの勤務であるため、生活リズムは整いやすいです。入院や手術、検査などもないため残業も少なめです。子どもが小さくても働きやすいといえるでしょう。
2.精神的な負担が少ない
なんらかの疾患があっても、病状は比較的落ち着いている方が利用されます。そのため急変も少なめです。看取りもないため、病棟勤務より精神的な負担は少なめでしょう。
3.ブランクがあっても働きやすい
デイサービスは身体機能の維持・向上、家族の介護負担の軽減が主な目的であり、医療処置は少なめです。ブランクがあっても心配ないでしょう。再雇用やパートで働く60歳以上の看護師も多く見られます。
40代看護師がデイサービスで働くデメリット3選
デイサービスの勤務はメリットだけでなく、デメリットもあります。以下の3つが考えられます。
- 給料が低め
- スキルアップがしづらい
- 看護師が自分だけの場合がある
一つずつ解説していきます。
1.給料が低め
病棟勤務より給料は低くなります。夜勤手当がなく、残業も少ないためです。
看護協会の「2020年 病院看護実態調査」による夜勤手当の平均は表の通りです。
平均夜勤手当額 | |
---|---|
三交代制:準夜勤の手当額 | 4,154円 |
三交代制:深夜勤の手当額 | 5,122円 |
二交代制:夜勤の手当額 | 11,286円 |
上記の手当額は深夜(22時~翌5時)の割増し賃金を除いた定額部分のみです。
三交代で準夜勤・深夜勤を4回ずつ行う場合と二交代を月4回行う場合を考えると、約5~6万円となり、この分給料は低くなります。
給料のために夜勤をするか、給料が下がっても夜勤がない方がいいのか、よく考えて転職活動をしましょう。
参照:2020年 病院看護実態調査 報告書/日本看護協会調査研究報告<No.96>
2.看護師のスキルアップはしづらい
デイサービスは医療的な処置や最先端の知識に触れる機会は少ないです。そのため、スキルアップは難しいでしょう。
「新しい知識を身につけたい」「看護技術を活かしたい」と考えている人にはデイサービスは向いていないでしょう。
3.看護師の人数が少なく不安を感じる
デイサービスでは、看護師が自分一人である場合もあります。看護師同士で相談できず不安を感じる人もいるかもしれません。
勤務するデイサービスでの過去の事例を確認したり、利用者さんの想定されるリスクや対処方法を考えることが大切です。
スムーズな連携を図れるよう、良好な人間関係も欠かせません。
40代看護師でデイサービスが向いている人
40代看護師でデイサービス勤務が向いている人は、以下の人です。
- 介護業務が好きな人
- 年収が下がっても「夜勤なし」で働きたい人
- 高齢者とのコミュニケーションが好きな人
それぞれの理由をみていきましょう。
1.介護業務が好きな人
デイサービスでは食事や入浴の介助、リハビリテーションなど介護業務が多くなります。介護業務に関心がある人や、やりがいを感じられる人は向いているでしょう。
2.年収が下がっても「夜勤なし」で働きたい人
デイサービスは夜勤がないため、年収の低下は避けられません。それでも、夜勤なしで働きたい人には向いているといえるでしょう。家族との時間を確保し育児や介護と両立したい人、規則正しい生活で体の負担を減らしたい人にはおすすめの職場です。
3.高齢者とのコミュニケーションが好きな人
利用者は高齢者であるため、敬意をもって関われる人で、コミュニケーションを楽しめる人が向いているでしょう。利用者やスタッフとのコミュニケーションを楽しみに通う方も多く、デイサービスの特徴ともいえます。
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