「40代になり夜勤がきつい」
「健診センターの仕事が気になる」
「40代でも健診センターで働けるのだろうか?」
40代看護師は自らの体力低下を実感する機会が多くなります。さらに子育てや親の介護問題も加わるため「日勤だけで働きたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
健診センターは、夜勤がなくワークライフバランスが整いやすく、40代看護師の転職先として高い人気です。
この記事では以下について解説します。
- 健診センターで働く看護師の仕事内容と役割
- 「健診」と「検診」の違い
- 健診センターの1日のスケジュール
- 40代看護師に健診センターをおすすめする理由3つ
- 40代看護師が健診センターで働く場合の注意点3つ
- 40代看護師で健診センターが向いている人の5タイプ
なお筆者は、病院内の健診センターや宿泊の人間ドック業務の経験が2年程度あります。
記事を参考に、健診センターの働き方を検討してみてくださいね。
健診センターで働く看護師の仕事内容と役割
健診センターで働く看護師の役割は、受診者がスムーズに検査や診察を終えられるようにすることです。受け入れ人数の多い施設では、1日100人以上の対応を行うときもあります。仕事内容は、おもに以下の通りです。
- 問診
- 身体計測(身長・体重測定、血圧測定、聴力・視力検査など)
- 採血
- 医師の診察の補助
- 健診結果のチェックや書類作成
問診では、書類の記入もれを確認し、既往歴や内服の有無・アレルギーの有無について詳しく聴取します。
状況によっては検査が実施できない人や、薬剤を使用できない人もいるため、丁寧な確認が必要です。
採血項目や検査内容は、受診者の年齢やオプションの有無で異なります。間違えるリスクを減らすために、受診者と一緒に検査項目や採血スピッツをダブルチェックする場合が多いです。
医師の診察では、医師がスムーズに診察ができるようデータを揃えたり、聴診の介助を行います。
また、胃透視や胃カメラの介助は、健診担当の看護師が行う施設もあるようです。心電図の検査などは臨床検査技師が行うところもあり、業務の分担は施設により異なります。
「健診」と「検診」の違い
「けんしん」とつくものには「健診」と「検診」がありますが、違いが分からない方もいるかもしれません。「健診」は、現在の健康状態を知り、生活習慣病の予防や病気の発見を目的として行う健康診断や健康診査です。
労働安全衛生法などの法律によって義務づけられた「法定健診」は、企業や自治体で定期的に行われる健診です。
人間ドックなどは「任意健診」といわれ、個人の任意判断で行われます。
一方「検診」は、胃がんや大腸がん、子宮がんなどの特定の病気を早期に発見する目的で行われます。実施機関では「健診」も「検診」も対応している場合が多いようです。
健診センターの1日のスケジュール
健診センターは夜勤がありません。1日の検査人数も決まっているため、残業も少なめです。
1日のスケジュール例をみていきます。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
7:45ころ | 出勤、事前準備 |
8:00 | ・書類確認、問診、身体計測、採血、診察の補助などの業務 ・検査実施場所への案内など |
12:00 | 休憩 |
13:00~15:00 | 宿泊の人間ドックなどの健診業務特定健診などの業務 |
15:00~17:00 | データ入力・書類作成など |
17:00 | 退勤 |
朝は採血があるため、出勤時間は通常の日勤よりは早めになる傾向です。
筆者が健診センターで勤務していたときは「出勤すると採血から始まる」という感じでした。
日帰りの健診の場合、午前に業務が集中し、午後は書類作成など事務作業が多くなります。健診にはバスで企業などをまわる「巡回健診」もあり、目的地によっては早朝に出発する場合もあります。
40代看護師に健診センターをおすすめする理由3つ
働き方に悩む40代看護師に、健診センターをおすすめする理由は以下の3つです。
- 体の負担が少ない
- 精神的なストレスが少ない
- ワークライフバランスが整いやすい
それぞれ詳しく解説しますので、働き方を検討中の方は参考にしてみてください。
1.体の負担が少ない
40代になると、残念ながら体力の低下を実感するときがあります。
とくに夜勤はきついですよね。
健診センターは日勤のみの勤務です。夜勤で一晩中ナースコール対応に追われ、駆け回ることはありません。自力で動けない患者さんの移動や入浴介助もないため、体がつらいと感じる場面は少ないといえます。
体力を保ちやすいため、余裕を持って家事をしたり、子どもとの時間を過ごしたりできるでしょう。
2.精神的なストレスが少ない
健診センターを受診するのは、基本的に健康な人です。
緊急入院や手術はなく、急変もほとんどありません。生死に関わる場面がほぼないため、プレッシャーを感じるようなことは少なめです。
また、スタッフ同士の関係は比較的さっぱりしている傾向です。人間関係で悩むようなことがないため、働きやすいといえます。
3.生活リズムが整いやすい
健診センターは夜勤がなく、生活リズムが整いやすいです。起床や就寝時間を一定にできるため、美容や健康面でのメリットもあります。
残業はほとんどなく、定時出勤・定時退社できる施設が多いため、プライベートの充実も叶えられるでしょう。
家族の生活リズムにも合わせやすく、一緒にいる時間を増やせますよ。
40代看護師が健診センターで働く場合の注意点3つ
健診センターで働く場合は注意したい点もあります。転職をお考えの方は、おすすめする理由とあわせて総合的に判断する必要があるでしょう。注意点は以下の3つです。
- 給料が低くなる
- 採血に確実性や速さが求められる
- じっくりコミュニケションをとる機会は少ない
1つずつ解説しますので、ミスマッチを防ぎたい方は参考にしてください。
1.給料が低くなる
健診センターの給料は、そもそも基本給が低めです。
夜勤手当や深夜手当もないため、病棟勤務よりは給料が低くなる傾向です。
2017年の看護職員実態調査によると以下の結果でした。
正社員(フルタイム)の基本給与額と税込み給与額
基本給与額の平均額(円) | 税込給与額の平均額(円) | |
---|---|---|
計 | 273,690.7 | 361,720.7 |
病院 | 271,563.7 | 362,855.9 |
検(健)診センター・労働衛生機関 | 258,205.0 | 313,928.3 |
参考:2017年 看護職員実態調査/日本看護協会 統計表67・68
運営母体や経験年数などにより異なりますが、税込で比較すると月5万円弱低くなるようです。転職を希望する際、給料を優先に考えたい方はよく検討するようにしてください。
2.採血に確実性や速さが求められる
健診では採血が必須であり、医師の診察ではデータをもとに説明するケースがほとんどです。
診察に間に合うように採血を行わなければなりません。
規模の大きな施設では採血する人数も多くなります。確実でスピーディーなスキルが必要です。とはいえ、健康な人が対象であるため、基本的な採血スキルを身につけていれば問題ないでしょう。
3.じっくりコミュニケーションをとる機会は少ない
健診の多くは日帰りで実施されます。宿泊を伴う人間ドックの場合でも2~3日です。
病棟のように、入院から退院まで長期間看護を行うわけではありません。
じっくりコミュニケーションをとりたい方は「やりがいがない」と感じる可能性があります。
40代看護師で健診センターが向いている人の5タイプ
自分に合った職場であれば長く勤務を続けたいですよね。健診センターの看護師に向いているのは、以下のタイプの人です。
- 接遇のスキルが高い人
- 採血が得意な人
- ルーティンワークが苦にならない人
- 早起きが得意な人
- ワークライフバランスを重視したい人
それぞれ解説しますので、自分に該当するかチェックしてみてくださいね。
1.接遇のスキルが高い人
健診センターの受診者は「お客様」として対応するため、丁寧な接遇ができる人が向いています。とくに任意で行う人間ドックでは大切です。
検査や接遇の満足度が高ければ、次の機会も利用してもらえる可能性があるためです。
また、予防医学の知識をもとに、問診や保健指導も行います。受診者の健康の不安を傾聴し、適切に説明するコミュニケーションスキルも重要です。
2.採血が得意な人
採血が得意な人は、健診センターが向いています。限られた時間に多くの人の採血を行わなければならないためです。
検査のスムーズな流れが大切であるため、正確でスピーディーに採血できる人が重宝されます。
3.ルーティンワークが苦にならない人
仕事内容は、身体計測や採血、診察の補助などのルーティンワークです。
同じ作業を行うことが苦にならない人が向いています。
毎日変化を求める方や、患者さんと接することが好きな人は「やりがいがない」と感じるかもしれません。
4.早起きが得意な人
通常の日勤業務より早くから仕事を行うため、早起きが得意な方におすすめです。
朝が苦手な人はつらく感じる場合があるかもしれません。朝早い分終業時間は繰り上がるため、夕方や夜の予定が入れやすいでしょう。
5.ワークライフバランスを重視したい人
健診センターは夜勤がなく、カレンダー通りに休める施設も多いため、ワークライフバランスを重視したい方におすすめです。家族との時間や趣味の活動などを充実させたい方にとっては、働きやすい環境といえます。
健診センターでの勤務を選択する際は、自分のキャリア目標や生活スタイルも考えて選ぶようにしてくださいね。
健診センターは人気の職場です。また求人自体が少なめであるため、情報が出たとしてもすぐに決まってしまう可能性が高いです。いつも求人情報のアンテナを張る必要があるでしょう。
とはいえ、仕事や家事に追われると、じっくり情報収集する時間はとりにくいものです。効率的に情報収集を行うために、転職サイトを利用するのも1つの方法です。比較検討のため、複数登録してみるといいでしょう。